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2014.02.06更新

いつもご訪問いただきありがとうございます。
今回のブログのタイトルは【貧血で来院された猫さん】です。

この猫さんは数日前から元気・食欲がなく、ふらついているという主訴で来院されました。
身体検査にて可視粘膜が真っ白になっており、貧血を疑い各種検査を実施いたしました。

検査の結果、やはり重度の貧血を呈しており、貧血の度合いを表す数値PCVは10%(正常は30-40%程度)でした。
貧血とは赤血球が減少する事で、通常原因として、①赤血球が造られていない、②赤血球が出て行っている(出血) ③赤血球が壊されているといった事などが考えられます。
本患者は便の状態の含め出血を疑う所見はなく、原因として①または③が考えられました。
こういった場合の鑑別として血液塗沫が重要になります。

【血液塗沫所見】
 

この塗沫所見より多染性赤血球(やや紫色の赤血球)が他の視野にも十分に確認できたため、しっかりと赤血球は造られていると判断し、③の赤血球が破壊されている事が疑われます。また破壊の原因として本症例の場合、赤血球の中に紫の斑点が確認されましたので、【ヘモプラズマ症】を疑いました。
抹消血液塗沫でのヘモプラズマの検出率は37%程度という報告もあります。
確認検査として遺伝子検査を実施したところ陽性の判定が出たため、ヘモプラズマという病原体が赤血球に寄生する事により赤血球破壊が引き起こされた【溶血性貧血】と診断しました。



その後、飼い主の方の "治療へのご理解" や "賢明な看護" の甲斐もあり、治療にも良く反応し、現在は良好に経過しております。


久留米市 高尾動物病院  

 

投稿者: 高尾動物病院

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